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東京の地震と自然災害リスク:住む場所を選ぶ際のポイント

東京の眺め

東京で住まいを探しているなら、東京の地震について知っておくことは、住む場所を選ぶうえで重要なポイントです。ただし、考えておきたいのは地震だけではありません。大雨、洪水、高潮、津波、液状化、そして建物そのものの状態も、東京で自然災害が発生した際の安全性や暮らしやすさに影響します。

また、1つの情報だけで地域の安全性を判断しないことも大切です。高台にある地域は、地盤の面では比較的有利な場合がありますが、非常に激しい雨が降れば浸水することもあります。一方、大きな河川の近くにある低地では洪水のリスクが高い可能性がありますが、過去の水害を教訓として、大規模な排水施設、排水機場、水門、堤防などが整備されている場合もあります。

東京で住まいを借りる人にとって本当に重要なのは、単純にどの区が一番安全なのかを考えることではありません。さまざまな災害が発生した場合に、その地域や建物がどのような影響を受ける可能性があるのか、そしてリスクを抑えるためにどのような対策がすでに取られているのかを確認することです。

東京における地震のリスク

東京は世界でも有数の地震対策が進んでいる都市ですが、地震のリスクを完全になくすことはできません。

東京都は、今後30年以内に南関東のどこかでM7クラスの地震が発生する確率を70%としています。これは南関東全体を対象とした確率であり、東京の特定の区や地域で必ず地震が起こるという予測ではありません。それでも、東京の地震リスクを住まい選びの際に考えておくことが重要であることを示しています。 東京都の東京レジリエンスプロジェクト では、地震に関する最新の情報や防災対策を確認できます。 

東京都は、東京23区の南部を震源とするM7.3の地震を想定した詳細な被害シナリオも公表しています。このシナリオでは、23区の約60%で震度6強以上の揺れが発生すると想定されています。被害想定は、建物の全壊や半壊などを含めた被害建物194,431棟、死者6,148人、避難者約299万人、帰宅困難者約453万人となっています。ただし、これらは防災対策のために設定された想定であり、実際に特定の地震が発生した場合の被害を予測したものではありません。 

実際に発生した比較的新しい地震を見ると、それほど大規模ではない地震でも東京の日常生活に大きな影響を与える可能性があります。2021年10月7日には、千葉県北西部を震源とするM5.9の地震が発生しました。東京都では足立区で最大震度5強を観測し、負傷者、火災、ブロック塀の被害、鉄道の運行障害、停電、エレベーター閉じ込めなどが発生しました。また、鉄道の停止などにより、帰宅できなくなった人もいました。 

これは、住まいを探す際に覚えておきたい重要なポイントです。地震への備えは、建物が倒壊するかどうかだけの問題ではありません。大きな地震が発生すると、エレベーターが停止したり、水道や電気が一時的に使えなくなったり、電車が止まったり、道路が混雑したりする可能性があります。

地盤の状態は重要だが、それだけで判断することはできない

東京にはさまざまな種類の地盤があります。西部や中央部には台地に位置する地域がある一方、東部の多くの地域は河川や海によって形成された低地に位置しています。

地盤の状態は、地震の揺れ方や液状化の可能性に影響します。東京都の液状化予測図は2026年3月に改訂され、より新しい地盤データが反映されています。東京都は、この地図が地域ごとの相対的な液状化の可能性を示すものであり、特定の場所で液状化が起こるかどうかを保証するものではないと説明しています。また、液状化の可能性が低いとされている地域でも、局所的な地盤条件によって状況が異なる場合があります。そのため、 液状化予測図 は最終的な判断材料ではなく、複数の情報の1つとして利用することが大切です。 

同じことは、 東京都の地域危険度測定調査に基づく地震に関する地域のリスクマップについてもいえます。東京都では23区と多摩地域を対象とした地震に関するリスクマップを公開しており、英語版も用意されています。このマップでは、区全体を単純に安全または危険と分類するのではなく、地域ごとの地震に対する危険性を確認できます。 

東京の大雨と洪水

地震は大きく取り上げられることが多いですが、住む場所を選ぶ際には、大雨や洪水についても考える必要があります。

東京には多くの河川があり、都市部には住宅や建物が密集しています。大雨による浸水には、大きく分けて2つのタイプがあります。1つは、河川の水位が上昇して川から水があふれる河川洪水です。もう1つは、降った雨の量が排水設備や下水道の処理能力を超えることで発生する内水氾濫です。

この違いは非常に重要です。大きな河川のすぐ近くにある物件でなくても、大雨によって浸水する可能性があるからです。

東京では長年にわたって洪水対策が進められてきました。河川の整備や調節池、下水道、排水施設、水門などの整備や強化が行われています。東京都は2026年4月にも洪水対策計画を改定し、対策が必要な地域の見直しや、善福寺川における新たな洪水予報の仕組みなどを盛り込みました。 

東京都では、住所から検索して想定される浸水深などを確認できる 洪水リスク検索サービス も提供しています。また、 東京都の洪水・水防に関する総合情報システムでは、雨量や河川の水位などを確認できます。 

これらの情報は、賃貸物件を比較するときに特に役立ちます。洪水リスクは、同じ区内でも比較的狭い範囲で大きく異なる場合があるためです。

目黒の例:高台だからといって洪水のリスクがないわけではない

目黒は、高台にある地域でも洪水のリスクがあることを示す、よい例です。

目黒区の多くは武蔵野台地に位置しています。しかし、区全体が一様な台地というわけではありません。目黒川や呑川などによって形成された谷があり、区内には台地と河川沿いの低い地域が混在しています。 

この地形の違いは、2025年に特に重要な意味を持ちました。

2025年7月10日と9月11日には、記録的な大雨によって目黒区の複数の地域で道路や緑道の浸水、住宅への浸水などが発生しました。9月の大雨だけでも、約400件の被害調査の依頼がありました。目黒区はその後、7月と9月の大雨によって、住宅の床上浸水または床下浸水が約450件発生したとしています。 

この事例が重要なのは、目黒が地盤の面では比較的有利と考えられる地域であるにもかかわらず、非常に激しい雨によって実際に浸水被害が発生したことです。

同時に、実際の災害経験が新たな対策につながっていることも注目すべき点です。2025年の浸水被害を受け、目黒区では住民が利用できる排水ポンプを約10台用意する計画や、止水板の設置に対する支援の拡充、土のうの保管場所の増設などを進めました。また、個人が止水板を設置する場合の補助率も、4分の3から9割へ引き上げられました。 

目黒区の洪水ハザードマップも2026年3月に更新されました。現在のマップでは、河川の氾濫、内水氾濫、高潮などに関する情報を確認でき、英語版も用意されています。 

ここから分かるのは、目黒が危険な地域だということではありません。重要なのは、地盤条件が比較的良い地域であっても、非常に強い雨が降れば局地的な浸水が起こる可能性があるということです。

荒川周辺の例:低地だからといって必ず被害が大きくなるわけではない

反対の例として挙げられるのが、東京東部です。

荒川周辺の地域、特に葛飾区や江戸川区の一部は、非常に低い土地に位置しています。葛飾区は荒川、江戸川、中川、綾瀬川など複数の河川に囲まれており、区の約半分がゼロメートル地帯にあります。江戸川区では、土地の約70%がゼロメートル地帯に位置しています。 

これは、大規模な洪水に対する潜在的なリスクが高いことを意味します。そのため、これらの地域を洪水に対して安全な地域と一括して評価することはできません。

しかし、もう1つの側面があります。

東京東部では、何十年にもわたって大規模な水害が繰り返されてきました。そのため、過去の水害を教訓として、大規模な洪水対策インフラが整備されてきました。葛飾区でも、繰り返し発生した水害を受けて、水門や下水道などの整備が進められており、近年では大規模な浸水被害の発生頻度が低下しています。 

その一例が、葛飾区にある綾瀬排水機場です。この施設には2台のポンプがあり、合計で毎秒100立方メートルの排水能力があります。2023年6月、台風2号に伴う大雨が発生した際には、約1,369万立方メートルの水を排水しました。 

この事例は、洪水リスクを評価する際に、土地の高さだけで判断するべきではないことをよく示しています。

低地にある地域は、ハザードマップ上で大きな洪水リスクが示されている場合があります。しかし、住宅地から水を排出するための大規模なインフラが整備されている場合もあります。一方、標高が比較的高い地域でも、非常に激しい雨が降れば局地的な排水の問題が発生することがあります。

もちろん、荒川周辺の地域が西東京より全体として安全だという意味ではありません。そのような単純な結論を出せるだけの根拠はありません。重要なのは、自然の地形や条件だけでなく、その地域にどのような防災インフラが整備され、どのように機能しているのかも含めて考えることです。

河川洪水と内水氾濫は異なる

賃貸物件を比較するときは、河川洪水と内水氾濫の違いを理解しておくと役立ちます。

河川洪水は、河川の水位が上昇し、河川の流下能力や洪水対策の能力を超えることで発生します。大規模な洪水が発生すると、広い範囲に水が広がり、長時間にわたって浸水が続く可能性があります。

内水氾濫はこれとは異なります。非常に激しい雨が降ると、雨水を排出するための道路側溝や下水道などの能力を超え、水が排出しきれなくなることがあります。その結果、河川が氾濫していなくても、道路、建物の入口、地下空間、地下駐車場、低い階などが浸水することがあります。

2025年に目黒で発生した浸水被害は、このような局地的なリスクを考えるうえで参考になる事例です。

そのため、河川から数本離れた場所にある物件だからといって、洪水リスクがないとは限りません。正確な場所、道路との高低差、排水設備、建物の入口、地下空間の有無なども重要になります。

東京都の 洪水リスクマップや住所検索サービス では、特定の場所について想定される浸水深やその他の情報を確認できます。 

津波と高潮のリスク

東京23区の中心部では、津波のリスクは日本の一部の沿岸地域と比べて低いものの、ゼロではありません。

東京都の最新の防災ガイドブックによると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京23区の一部では最大で約2メートルから2.6メートルの津波が想定されています。最大津波高は江東区で2.63メートル、中央区で2.42メートル、品川区で2.38メートル、港区で2.37メートル、大田区で2.25メートル、江戸川区で2.24メートルとされています。最も早い場合、最大津波高が到達するまで約1時間20分と想定されています。 

東京で一般的な賃貸物件を探す場合、津波が最も重要な判断材料になるケースは多くありません。ただし、東京湾や大きな河川の近くにある物件を検討する場合は、津波についても確認しておくと安心です。

沿岸部では高潮についても考える必要があります。東京都は2025年1月に高潮浸水想定区域図を改定しました。現在の想定では17区が対象となっており、約184平方キロメートルが浸水する可能性があるほか、一部の地域では浸水が1週間以上続く可能性も想定されています。 

そのため、東京湾に近い物件と、より内陸にある物件を比較する場合には、地震だけでなく津波や高潮についても確認することをおすすめします。

 

災害リスクを踏まえて安全な地域を選ぶには

目黒と荒川周辺の例から分かる重要なポイントがあります。

地域の安全性を決める要素は1つではありません。

より現実的に判断するためには、複数の要素を組み合わせて考えることが大切です。

 

地盤の状態

その物件が台地、谷、低地、埋立地など、どのような地形に位置しているのかを確認しましょう。液状化の可能性も場所によって大きく異なります。

 

浸水リスク

ハザードマップで色が付いているかどうかだけでなく、想定される浸水の深さまで確認しましょう。

 

過去の浸水被害

実際に最近浸水が発生したことがあるかどうかを調べましょう。地域について一般的に持たれているイメージだけでは分からない、局地的な問題が見つかることがあります。

 

排水設備と洪水対策インフラ

排水機場、ポンプ施設、水門、調節池、堤防など、その地域にどのような洪水対策インフラが整備されているのかを確認しましょう。

 

建物の状態

地震が発生した場合、建物そのものの状態は非常に重要です。東京都の防災ガイドブックでは、1981年に新しい耐震基準が導入される前に建てられた建物は、一般的に大きな地震に対する耐震性が低いとされています。古い建物については、耐震診断や耐震補強が行われているかどうかを確認することが推奨されています。

 

建物内での位置

洪水リスクがある地域では、地下の入口、地下駐車場、低い位置にある出入口、1階の住戸、電気設備などについても注意が必要です。

 

避難場所

大きな地震や洪水が発生した場合、どこへ避難するのかを確認しておきましょう。特に標高の低い地域では、浸水が始まってからではなく、浸水する前に避難する必要がある場合があります。

つまり、最も安全な物件が必ずしも標高の最も高い場所や最も低い場所にあるとは限りません。地域の災害リスク、建物の状態、インフラ、避難方法を総合的に考え、自分の生活スタイルや優先順位に合った物件を選ぶことが重要です。

 

東京における防災対策の継続的な強化

東京の防災対策は固定されたものではありません。新しいデータや過去の災害から得られた教訓をもとに、東京都では継続的に対策を見直しています。

2026年3月には、東京都が建物の耐震化をさらに進めるための耐震改修促進計画を改定しました。特に、緊急輸送道路沿道の建物や住宅などについて、耐震化を促進する取り組みが進められています。 

東京都では2026年9月にも、長年続けてきた耐震診断や耐震改修を促進する取り組みの一環として、地震に備えるキャンペーンを実施しています 

集合住宅についても対策が進められています。東京都は2026年8月、耐震診断がまだ完了していない約3,700棟のマンションを対象として、今後5年間で専門家が訪問し、耐震診断や耐震改修について支援する新たな取り組みを発表しました。 

洪水対策も継続的に強化されています。東京都は2026年4月に洪水対策計画を改定し、善福寺川については東京都と気象庁が共同で洪水予報を行う新たな仕組みが導入されました。 

こうした取り組みによって自然災害のリスクがなくなるわけではありません。しかし、地域について考える際には、過去のイメージだけで判断するのではなく、現在整備されているインフラや近年の対策強化についても確認することが重要です。

 

東京で賃貸物件を借りる前に確認したいこと

住まいを探す際に、防災面を重要な条件の1つとして考えているなら、次のチェックリストが役立ちます。

  1. 正確な住所を確認する

区の名前だけで判断しないようにしましょう。同じ区内でも、物件によって地形や災害リスクが大きく異なる場合があります。

  1. 地震に関する地域のリスクマップを確認する

東京都の公式マップを利用して、地域ごとの地震リスクや避難に関する情報を確認しましょう。

  1. 液状化の可能性を確認する

東京都の最新の液状化予測図は2026年に改訂されています。ただし、これは地域ごとの相対的な可能性を示すものであり、特定の物件で実際に何が起こるかを保証するものではありません。

  1. 洪水リスクを確認する

河川洪水だけでなく、内水氾濫についても確認しましょう。想定される浸水の深さに加えて、可能であれば浸水がどの程度の期間続く可能性があるのかも確認してください。

  1. 最近の浸水被害を確認する

その物件周辺で実際に浸水が発生したことがあるかを調べましょう。最近の災害事例は、その地域の排水能力を知るうえで役立つ情報になります。

  1. 建物について確認する

建築年、建物構造、耐震性について確認しましょう。古い建物の場合は、耐震診断や耐震補強が行われているかどうかも確認することをおすすめします。

  1. 階数と建物の入口を確認する

洪水リスクがある場合は、住戸の位置、地下部分、駐車場、電気設備、建物の入口などにも注意しましょう。

  1. 避難方法を確認する

最寄りの避難場所を確認し、災害の種類によって避難場所や避難経路が変わるかどうかも確認しておきましょう。

東京都の 防災ガイドブック は英語版、中国語版、韓国語版も用意されており、地震、風水害、津波、高潮など、さまざまな災害について基本的な情報を確認できます。

 

まとめ

では、東京で実際により安全に暮らせる地域はどこなのでしょうか。

この質問に対して、区のランキングだけで答えることはできません。

最近の災害事例から分かる最も重要なことは、1つの情報だけでは地域の安全性を判断できないということです。目黒は台地に位置する地域が多く、地盤の面では比較的有利な場所もあります。しかし、2025年の大雨では約450件の浸水被害が発生しました。一方、荒川周辺の東部地域は標高が低く、洪水の潜在的なリスクがありますが、長年にわたって整備されてきた排水施設や洪水対策インフラが、実際の水害対策に大きな役割を果たしています。

そのため、東京の地震リスクだけでなく、洪水、液状化、津波、高潮、建物の状態、地域のインフラなどを合わせて考えることが重要です。

東京で自然災害が発生した場合、同じ区の中でも場所によって影響は大きく異なる可能性があります。そのため、最も安全な選択肢は、必ずしも評判の良い地域や標高が最も高い場所にある物件とは限りません。地域のリスクを正確に確認したうえで、建物の状態、インフラ、避難方法なども含めて、自分の優先順位に合った住まいを選ぶことが大切です。

東京で賃貸物件を探す際は、東京の東側か西側かといった大まかなイメージだけに頼らず、物件の正確な住所を確認する時間を取りましょう。公的なハザードマップと実際に起きた最近の災害事例を組み合わせて見ることで、その地域についてより現実的な判断ができるようになります。

東京で保証人なしの賃貸物件を探していて、災害リスクについても納得したうえで住むエリアを選びたいとお考えですか?地震、洪水、その他の自然災害リスクをどのように物件探しの条件に取り入れればよいか分からない場合は、経験のある不動産エージェントに相談することで、選択肢を整理しやすくなります。

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